全羅道名物の甘いそば
甘いきな粉と蕎麦がこんなに合うなんて!
蕎麦の出汁と言えばよくあるのは塩気の強い出汁ですが、全羅道では甘い出汁が有名だそうです。
今回訪れたのは全羅北道中部にある都市、全州市。ソウルからはKTXで2時間弱ほどの距離です。
この日はかなり暑かったこともあり、全州で冷たい麺料理であるコングクスを食べることにしました。
コングクスは冷たい豆乳のスープ、素麺、その上に千切りのキュウリ、黒ごま、そして塩、というスタイルが今まで食べたコングクスでした。
しかし今回はかなり違いました。予想の遙か上を行くコングクスに出会ったのです。
お邪魔したお店はこちら、クマムソバ(금암소바)。全州市外バスターミナルの近くにあります。この日は平日の13時くらいだったのですが、スーツ姿のサラリーマンでいっぱい。大人気店のようで、期待が高まります。
メニューは蕎麦、コングクス、水冷麺などありますが、見渡すと殆どのお客さんがコングクスを注文していたのでコングクスの普通サイズ(7,000ウォン)に決定。
注文をしてから待つこと5分。コングクスが来ました。
この見た目のインパクト。
とろみのある冷たい豆乳のスープに真っ黒い蕎麦の麺。蕎麦は糸こんにゃくのように太く、かなり弾力があります。麺はかなり長いので、添えられていたはさみで4カ所ほど切ります。
そして何と言ってもこのスープ、味わったとき真っ先に思ったのは「ピーナッツバター?」でした。ピーナッツバターのような甘い味が口の中に広がり、食事なのだけどデザートのような、不思議な感覚になりました。
豆乳スープの表面には甘さ、器の底の方に豆の濃い粉っぽさがあることに気づき、かき混ぜてみました。そうすると味も甘さもいい塩梅。混ぜつつさらにいただきます。
甘味と塩気は両方あるものの塩気はやや薄いので、スープを口にする度にキムチも口にすると塩気もちょうど良く、辛さで全体が締まった感じに。コングクス、キムチ、コングクス、キムチ、たまにたくあん。箸が止まりません。
おかずのキムチやたくあんはもちろんおかわり自由。セルフサービスなので自分で適量を盛ることができます。
お店は13時を回っても地元のお客さんでいっぱい。観光客は私だけのようです。厨房の中にいるお母さん達も忙しそう。
あっという間にスープまで飲み干し、コングクス、完食しました。美味しかったです。
今まで当たり前だと思っていた味付けは、地域によって当たり前じゃないこともある、それを改めて実感したコングクスでした。初めて口にすると思考回路が停止するくらいびっくりしますが、歴史と食文化の街である全州を訪れたら、ぜひ全羅道のコングクスを味わっていただきたいです。